が挙げられるが、これらは密接な関係を持っていることが知られている。これらの体系では、交換法則は成立しないが、ある種の交代性(歪対称性)が共 通した演算規則として含まれており、四元数の虚部を三次元の座標空間とみたとき、四元数はその性質をよく反映する体系となる。

全ての四元数の虚部は三次元座標空間の一点と同一視することができ、さらに実部はその点における特別なスカラの物理量を代表させることも可能であ る。空間の中の有限個の点によって代表される物体は、これらの点の数と同数の四元数の集合によっても代表できると考えられる。四元数の和・差は座標空間内 のに対応し、四元数による内部自己同型 (∃aH; xaxa−1) は座標空間内に(原点を中心とする)回転を引き起こす。内部自己同型ではノルムが保たれるから、とくに単位四元数(が 1 であるような四元数;単位クオータニオン)を三次元空間内の回転に対応させることができる が、単位四元数の乗法逆元は共役四元数として得られるので、回転を表す代数的な演算は除算を用いることなく四元数の乗法に帰着される。

単純な掛け算では旋回の赤道面内の点は正しく旋回するが、赤道面から離れた点では誤差が生ずると言う問題がある。この誤差を解消するためには、

  1. 実部と虚部を分けて演算する。
  2. 共役四元数を利用する。
  3. 左側からの積と右側からの積を計算し差を採る。

などの工夫が行われる。従来、物体の並進と旋回を計算する演算は、四行四列の行列を掛ける方法が広く普及していたが、この行列に比べ四元数は要素数 が少なく、従って計算量も少なくて済む利点が再認識された。

実部がゼロであるような四元数を、純虚四元数と呼ぶことにし、前述の点の位置を純虚四元数で表すと、演算の一部を省略することがで き、かつ歪除去の工夫も簡略化できる。さらに純虚四元数は三次元ベクトルと同一視できる性質を備えており、二つの純虚四元数の積の虚部はベクトル積であ り、その実部はスカラー積の符号を変えたものであると見ることができる。三重積は、ベクトルを使った定義は複雑・難解だが、純虚四元数を用いれば簡単・明 解な定義となる。このように、四元数は演算速度の改善のみならず、理論的思考過程の簡素化にも効果があり、今後の進展が期待される。

 

http://www.ABOMB-HIROSHIMA-TRIBUNAL.COM